登記上ひとつの土地の一部を切り分ける手続きが「分筆登記」です。 線を引くだけで売却や建築ができるとは限りません。売る部分と残す部分、両方の条件を確認してから計画を進めましょう。
一部売却に向けた測量・分筆を相談する:019-601-9432
電話では「○○の土地の一部を売りたいと考えています。分筆と測量がどこまで必要か相談したいです」とお伝えください。分からない項目は、そのままで構いません。
「庭の一部を手放せないだろうか」
「親から引き継いだ土地を、必要なところだけ残して売りたい」
土地の一部売却を考える場面の例です。まだ買い手が決まっていなくても、分筆や測量の準備について相談できます。
土地の一部を売る話では、不動産会社へ価格を聞くこと、土地家屋調査士へ測量や分筆について聞くこと、家族で残したい使い方を話すことが、頭の中で一つになりがちです。
しかし、最初から一つの結論にまとめようとすると、かえって判断しにくくなります。
大切なのは、「売れるか、いくらか」だけを急いで決めるのではなく、家族が何を残したいのか、現地と資料について何が未確認なのか、誰に確認する事項なのかを分けることです。
この記事では、土地の一部売却を勧めたり、分け方を決めたりするのではなく、専門家へ相談する前の判断材料を整理します。
1.最初に「なぜ一部なのか」を一文にする
まず、土地を全部ではなく一部だけ手放したい理由を書いてみます。
例えば、次のような理由です。
- 管理する範囲を小さくしたい
- 建物と日常生活に必要な部分は残したい
- 相続した土地を家族で整理したい
- 資金計画の選択肢として検討したい
- 隣接する方から一部を譲ってほしいと相談された
理由が違えば、確認すべき相手も資料も変わります。
「売るために分ける」のか、「家族内の将来整理として分け方を検討する」のか、「建築や通路の計画と一緒に考える」のか。ここが曖昧なままでは、測量や見積もりの範囲も合わせにくくなります。
この段階では、実行を決める必要はありません。まずは「何を判断するための相談か」を一文にするだけでも十分です。
2.「売りたい部分」だけでなく「残す部分の使い方」を書く
図面に売りたい範囲だけを囲むと、話が進んだように見えます。ただ、実際には残す土地の使い方も重要な確認材料です。
家族で、次の項目を仮に書き出してみてください。
- 住宅や物置など、残して使う建物
- 車の出入りと駐車の位置
- 道路から玄関までの動線
- 除雪した雪を置いている場所
- 水道、排水、電気などの経路について把握していること
- 庭、家庭菜園、物干しなど日常利用している場所
- 将来の建て替えや増築について、まだ決めていないこと
残す土地と売る土地の両方で、道路への接し方、建物や配管との位置関係、担保の有無などを確認します。建築の可否は建築士・行政、担保の取扱いは金融機関・司法書士へ確認が必要です。
ここでのメモは設計判断ではありません。現状の使い方と家族の希望を、住宅会社、設計者、不動産会社、土地家屋調査士などへ質問するための材料です。
残す土地で建物の利用、接道、通路、設備、排水、除雪などに支障がないかは、現地条件や計画によって確認先が異なります。家族だけで「この幅なら大丈夫」と決めず、必要な専門家へ確認する前提で整理します。
3.手元の図面は「名称」より、日付・目的・範囲を見る
土地に関する資料には、公図、登記事項証明書、地積測量図、過去の測量図、売買時の図面、建築時の配置図などがあります。
似た線が描かれていても、作られた時期、目的、対象範囲、現地確認の内容は同じとは限りません。そのため、資料を一枚だけ見て、現在の境界や面積を確定したものとして扱わないことが大切です。
手元にある資料ごとに、次の4点をメモします。
- いつ頃の資料か
- 誰から受け取ったか
- 何の手続きや工事で使ったか
- 敷地全体か、一部だけか
分からない欄は「不明」のままで構いません。不明点が見えること自体が、相談時の有効な材料になります。
登記記録や法務局備付資料の取得・読み方、現地との関係は、土地家屋調査士へ確認できます。一方、売却条件や買い手の見込みは不動産会社、税務上の扱いは税理士、権利や契約に関する判断は司法書士や弁護士など、内容に応じた専門家への確認が必要です。
4.現地写真は「境界の証明」ではなく、質問を共有するために撮る
相談前に現地写真があると、状況を説明しやすくなる場合があります。
撮るなら、候補部分だけを大きく写すのではなく、次の組み合わせが役立ちます。
- 道路と敷地全体の位置関係が分かる引きの写真
- 建物、駐車場、通路、塀、側溝などの関係が分かる写真
- 気になる杭、塀、段差などの位置が分かる中距離の写真
- 気になる箇所の近接写真
- 撮影日と、どの方向から撮ったかのメモ
ただし、塀、杭、樹木、側溝など、目に見える物がそのまま法的な境界を示すとは限りません。写真だけで境界位置を判断したり、家族だけで印を付けたりせず、「この物は何か」「どの確認が必要か」を質問するために使います。
また、隣地へ無断で入らず、表札、車のナンバー、人の顔など個人が特定される情報の扱いにも注意します。
5.測量や境界確認は「何のために、どこまで」を先に確認する
分筆登記には、その土地を測量し、筆界(登記上の土地の区切り)を明らかにして、地積測量図などの申請資料を作成することが必要です。ただし、必要な作業、対象範囲、隣接地所有者との確認、成果物、期間は、土地の状況や目的によって変わります。
相談時には、少なくとも次を確認すると比較しやすくなります。
- 今回の目的に対して、どの作業を想定しているか
- 対象は敷地全体か、一部か
- 既存資料をどこまで確認するか
- 現地で何を調べるか
- 隣接地所有者や道路管理者などとの確認を想定しているか
- 見積もりに含まれる作業と、追加になり得る条件
- 予定している成果物
- 期間の見込みと、長くなる可能性がある条件
- 計画を進めない場合、どの段階まで費用が生じるか
ここで特にお伝えしたいのは、測量や境界確認が、依頼者にとって期待した結果だけを出すものとは限らないことです。
確認を進めた結果、想定していた位置や面積と異なる可能性があります。隣接地所有者との確認が必要になったり、売却範囲、建物配置、通路、外構、費用、日程、融資などの計画を見直す材料が出たりすることも考えられます。
そのため、「測れば得になる」「この線で分けられる」と先に決めず、目的、範囲、分かった結果が次の計画へ与える影響を確認してから進めることが大切です。
6.相談先ごとに質問を分ける
一部売却の話には複数の分野が関わることがあります。一人の専門家にすべての結論を求めるより、質問を分けた方が判断材料を整理しやすくなります。
| 確認したいこと | 主な確認先の例 |
|---|---|
| 現況、資料、測量、境界確認、分筆登記の進め方 | 土地家屋調査士 |
| 売却の需要、条件、取引の進め方 | 不動産会社 |
| 登記名義、権利、契約に関する事項 | 司法書士・弁護士など |
| 譲渡や相続などの税務 | 税理士・税務署など |
| 残す土地での建築、配置、設備、排水など | 住宅会社・建築士・設備や土木の専門家など |
| 融資への影響 | 金融機関 |
これは一般的な分け方です。案件ごとに必要な確認先は変わります。
倉澤土地家屋調査士事務所の判断支援では、売る・残す・測るといった結論を代わりに決めるのではなく、まず相談の目的、期限、手元資料、家族の希望、未確認事項を整理し、「次に誰へ何を確認するか」を見える形にしていきます。
相談前に使える6項目メモ
最後に、初回相談へ持っていける形にまとめます。
- 次に決めたいこと:一部売却を検討し続けるか、見積もりを取るかなど
- 期限:家族会議、売却、建築、相続整理などに関係する予定
- 一部にしたい理由:管理、資金、利用、家族事情など
- 残したい使い方:建物、駐車、通路、雪置き場、設備など
- 手元資料:資料名、日付、入手元、対象範囲
- 未確認事項:境界、面積、名義、建築、税務、価格など
すべて埋める必要はありません。「分からない」項目も含めて相談時に伝えることで、調べる順番を考えやすくなります。
土地の一部をどう扱うかは、家族にとって大きな判断です。だからこそ、最初の相談で結論を急ぐより、希望と事実、未確認事項、専門家へ聞くことを分けてみてください。
当事務所では、土地の調査・測量・分筆登記のご依頼を承ります。売却条件を約束する前に、場所と希望範囲、利用目的をお伝えください。売却価格の査定や仲介は不動産会社の担当です。
一部売却に向けた測量・分筆を相談する
倉澤土地家屋調査士事務所は、盛岡市・滝沢市・矢巾町・紫波町を中心に対応しています。
「○○の土地の一部を売りたいと考えています。分筆と測量がどこまで必要か相談したいです」
- 書類が全部そろっていなくても相談できます。
- 有料の調査・測量・登記は、内容と見積りに同意いただいてから着手します。
- 来所での受付は行っていません。訪問の場所・日時は電話で調整します。
- 図面や本人確認書類は、必要なものと送付方法をご案内してから共有してください。
参考情報
制度・窓口情報は2026年9月27日に確認しています。この記事は一般的なご案内です。個別の必要手続き・費用・期間は、資料と現地の状況を確認してご案内します。

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